小学校へ上がる前にしておきたいこと 

国語編

こだま幼稚園では石井式漢字教育をしているので、園児たちは難しい漢字も読むことができます。
 
けれども「読める」ことと「使える」ことは違います。
 
小学生を見ていると、言葉の運用力(リテラシー)に物足らないシーンにちょくちょく出くわします。
 
知っているのに使えないのはどうしてでしょうか?
 
子どもが言葉を覚える際には、具体的な物や場面で脳内の辞書を作り、再調整していることが知られています。
 
ですから、生きた言葉として、その言葉が使われるシーンを見聞きすることが大切なのです。
 
自営業の方で、大勢の大人が出入りして、その人達の会話が自然と耳に入る生活をしている子どもは、大人顔負けのボキャブラリーを使いこなします。
 
それは、生きた言葉を耳にしていたからです。
 
こだまの子はせっかくたくさんの言葉を知っているのですから、それをご家庭で使って見せてやってください。
 
すると知識としてインプットされた言葉が、使える言葉として定着します。
 
使われないでいたら、記憶の奥にしまいこまれて錆びついてしまいます。
 
それではもったいないですね。
 
 
お子さんと話すだけでなく、夫婦の会話や祖父母との会話でも結構です。生きた言葉を耳にすることが有用なのです。
 
子どもだからと易しい言葉遣いをするのではなく、大人と同じように話しかけて構いません。
 
知らない言葉が出てきたら「それってどういう意味?」と聞き返して来ます。
 
その時には、子どもが知っている語彙で説明してやってください。
 
先日もこだまの寺子屋で「まったく頑固だね、君は」と言うとすかさず「頑固ってどういうこと?」と聞いてきました。
 
「一度言い出したことを、なかなか引っ込めないような人のことだよ」と説明しました。

算数編

数についても、こだま幼稚園ではヨコミネ式に基づいて、基本的な数の数え方や簡単な足し算引き算まで指導しています。
 
この時期の子どもは、知識だけでなく100玉そろばんのような具体物で、実際に数を体験しておくことが大切です。
 
小学校の先取りをしようと、プリント学習を早く取り入れすぎると、計算はできるけれども数のセンスのないこどもになってしまいます。
 
数のセンスというのは、具体的にはどのようなものでしょうか。
 
「8の半分が4とわかる、8の半分の半分が2とわかる」「5の倍が10とわかる」
 
また足して5になる数、足して10になる数、つまり5の補数と10の補数が瞬時に答えられること。
 
これが数のセンスです。
 
そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、高学年でも1000÷4を筆算する子が、とても多いのです。
 
また、10の補数を間違って計算ミスをする子もいます。
 
÷4は半分の半分だから250と即答できる子は少ない。
 
これではいくら計算が速くても、応用力が必要な問題を解くことができません。
 
 
もう一つ、算数なのに文章読解力が必要です。
 
それも物語を読むのとは異なり、問題文をもれなく正確に読み取る力です。
 
算数によくつかわれる概念が言葉と併せて理解できていることがポイント。
 
具体的には、
 
<関係を示す言葉>
いくつ、なんこ、どれくらい、どれだけ、それぞれ、ずつ、はじめに、まえ、あと、いまは、かず、あつまり、グループ、おなじ、つぎの、まえの、どちらが、くらべる
 
<足し算で使う言葉>
たす、あわせて、ぜんぶで、みんなで、くわえる、くる、のる、もらう、ふえる、〇と〇で、和、合計
 
<引き算で使う言葉>
のこり、ちがい、あまり、とる、あげる、へる、かえる、おりる、あといくつ、差
 
<長さとかさで使う言葉>
ながさ、ながい、みじかい、かさ、おおい、すくない、たかい、ひくい、そそぐ、こぼす、いっぱい、はんぶん
 
こうした言葉を聞いて、具体的状況がイメージできるようにしておきたいです。
 
おもちゃやお菓子を配る時に使う、水のかさは料理やお風呂で遊びながら覚える。
 
具体物で扱っておけば、ペーパーに移行するのも容易です。
 
 
他には時計の読み方も苦労する点です。
 
生活の中でアナログ時計を示して「短い針が6を少し過ぎて、長い針が3のところへ来たら6時15分だから、おもちゃを片付けてね」のように使っている内に、長い針が6で半、3で15分ということがわかってきます。
 
1年生は30分単位で良いのですが、15分まで知っていてもよいでしょう。
 
 
子どもの世界は話し言葉の世界です。
 
けれども学校というのは書き言葉で書かれた教科書を使って、書き言葉で授業を受ける場所です。
 
子どもにとってこれは思ったよりもハードルが高いのです。
 
けれども家庭の中で書き言葉に触れていれば、そのギャップはずっと小さくなります。
 
家族の会話でお子さんの言葉と数の運用力を高めてやりましょう。(文責 高橋)
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